ノロウイルス 胃腸炎について

ノロウイルス について

ノロウイルス は秋から冬(10月~2月)にかけて流行する代表的な消化管ウイルスです。特に保育園や幼稚園、学校など、子どもたちが集団生活を送っている施設では人から人へと感染し、爆発的に流行することがあります。ノロウイルスにはワクチンがなく、流行期には感染の機会はいたるところにあるため、その感染を防ぐことは非常に困難です。こどもたちは何度もその洗礼を浴びながら次第に免疫をつけていくのだと思われます。

【症状】

主な症状は嘔気・嘔吐・下痢で、軽い発熱を伴うこともあります。通常は便に血液は混じりません。とくに病初期の嘔吐の回数が多く、10回以上となることもあります。症状が続くのは平均1〜2日と比較的短期間なので、乳児・高齢者など体力が低下している方でなければ重症化することはありません。まれに合併症としてけいれんや脳症を発症することがあります。

【感染様式】

ノロウイルスの潜伏期間は12時間~48時間で強い感染力を持ちます。飛沫感染・接触感染のほかに、放置された嘔吐物などからウイルスを含んだ小粒子が舞い上がり、空気感染を起こすこともあります。患者の便1g中には1.0×10の8乗10乗(個)嘔吐物1gには1.0×10の6乗~9乗(個)のウイルスが含まれている一方で、わずかウイルス粒子100個程度で感染が成立するほど感染力が強いため、ごく微量の便や嘔吐物でも容易に人から人へと感染が拡大します。

【治療】

ノロウイルス感染症に特別な治療法はありません。脱水を避けるためにこまめに水分摂取をすることが最も重要です。適切な糖分・塩分の摂取も重要です。抗菌薬(抗生物質)は全く効果が無く、かえって下痢を長引かせるので使用しません。他には、対症療法として吐き気止めや整腸剤などを使用します。下痢がとてもひどい場合には下痢止めを使用することもありますが、ウイルスの排泄を遅らせるため最初から使用することはありません。

【感染予防のポイント】

最も有効な感染予防策は、流水と石けんによる手洗いです。ノロウイルスはごく微量の吐物や便からも感染します。帰宅時・調理前・食事前・トイレの後には手を良く洗いましょう。アルコール製剤による手指衛生は効果がなく、石けんで30秒以上かけてこすり洗いをした後に流水でしっかりと手を洗い流さなければなりません。サラダなど加熱調理しないで食する食材に注意して下さい。ノロウイルスの感染力は85℃、1分間の加熱で失われますので、加熱が可能な食品は中心温度85℃〜90℃で90秒間以上加熱しましょう。

手洗い

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