RSウイルス感染症

RSウイルス感染症

RSウイルス は例年、9月から3月までの秋から冬にかけて最も流行するウイルスです。お母さんからもらった免疫で防ぐことはできず、新生児にも感染します。2歳までにほとんど全員(100%)のこどもがRSウイルスに感染し、以後、大人になるまで何回も感染を繰り返します。乳幼児が細気管支炎というひどい咳や喘鳴を起こした場合、その60~80%はRSウイルスが原因であると言われています。

RSウイルスは、患者さんの咳やくしゃみを浴びて感染するほか(飛沫感染)、鼻汁や痰に触れた手指を介して口や鼻からウイルスが感染するために(接触感染)、感染力は比較的強く、感染を防ぐには隔離やアルコール手指消毒、マスク着用などの厳重な予防策が必要となります。潜伏期は4~6日間なので、RSウイルスに感染した兄弟や友達と接触してから1週間程度は症状が出ないか注意する必要があります。

年長児や学童がRSウイルスに感染しても、通常は上気道炎(かぜ)で終わります。しかし、乳幼児では約1/3程度で細気管支炎や肺炎を発症します。鼻汁が増え、鼻づまりのために呼吸がしづらくなります。熱を出すこともよくあります。痰の絡んだ咳が増えて寝づらくなり、ゼーゼーと喘鳴が聴かれたり、陥没呼吸という胸がへこむような呼吸をすることがあります。呼吸が苦しいため不機嫌で泣いてばかり、眠れなくなったり、食事や哺乳がほとんど摂れなくなることがあります。特に生後3か月未満の乳児では、喘鳴が非常に強いために自分では十分に呼吸ができず低酸素血症に陥ったり、息を止めてしまい(無呼吸)危険な状態に陥ることがあります。


RSウイルスに対する特別な治療薬はなく、対処療法が基本になります。適切な水分補給と加湿、痰を切れやすくする薬を飲みながら徐々に症状がおさまるのを待ちます。すでに呼吸困難が強い場合や、これから悪くなる可能性が高いと予想される場合には入院が必要です。マスクで酸素投与をしたり、水分補給のために点滴を行います。喘鳴を改善させるために気管支拡張薬の吸入を行うことがあります。重症例では人工呼吸器による呼吸管理が必要となることがあります。

RSウイルスは出席停止期間など法律上の決まりはありません。一部の例外を除き、保育園や幼稚園に登園許可書を提出する必要はありません。熱が下がり、咳や鼻汁がひどくなければ登園可能です。

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