2022年9月

2022年7月から始まった新型コロナウイルス(COVID-19)の流行第7波が続いています。
このところやや減少傾向を見せている感染者数も、幼稚園や学校が新学期を迎えて再び感染者数が増加する可能性があります。
子どものコロナウイルス感染は一時的な増加や減少があっても完全におさまることはなく、当面の間は変わらず続いていくことと思われます。

数字から見るコロナウイルス感染症

総務省と厚労省の発表(8月30日)によると、
10歳未満の国内人口924万人、感染者241万人、死亡者17人
10歳代の国内人口1081万人、感染者248万人、死亡者12人
20歳以上の人口1億395万人、感染者1443万人、死亡者4万人
https://covid19.mhlw.go.jp)(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202208.pdf

ここから計算すると、以下のことが分かります。
10歳未満の罹患率26.0%(4人に1人)、死亡率0.0007%(14万人に1人
10歳代の罹患率22.9%(5人に1人)、死亡率0.00048%(20万人に1人
20歳以上の罹患率13.8%(8人に1人)、死亡率0.28%(360人に1人

人口 感染者数(罹患率) 死亡者数(死亡率)
0〜9歳 924万人 241万人(26.0%) 17人(0.0007%)
10〜19歳 1081万人 248万人(22.9%) 12人(0.00048%)
20歳以上 1億395万人 1932万人(13.8%) 約40,000人(0.28%)

(罹患率:感染者数を人口で割ったもの  死亡率:死亡者数を感染者数で割ったもの)

この結果から以下のように言うことができます。
①子どもたちの間ではコロナウイルスが浸透し、珍しくない病気になっている
②命に関わることは10万人に1人以下で極めて稀

ということです。
実際には感染しても無症状〜軽微な症状だけの子どももいるため、感染者数はこれより多く、よって死亡率はもっと低いものと推測されます。

オミクロン株の症状

これまで当院では1200名以上のコロナ患者さんを診察してきました。
その多くはオミクロン株BA.1(第6波)とオミクロン株BA.5(第7波)です。
患者さんの多くは高熱が2〜3日続き、その間、強い倦怠感、食欲低下、咽頭痛、頭痛を訴えます。
学童や年長児では「せん妄」、1〜4歳では「熱性痙攣」を起こすお子さんがしばしばおられます。
熱から遅れて咳が増えることもあります。
推測ですが、せん妄を起こす子どもは10%程度、熱性痙攣を起こす子どもは1〜3%程度、入院する方は0.5%未満と思われます。
重症化することは滅多になく、ほとんどの方が軽症で問題なく回復されます。
ただし、医学的に軽症と言うのは命に関わることは無いという意味で、実際に発症すると倦怠感や喉の痛みは相当つらいようです。
1歳未満、特に生後4ヶ月までの乳児では急な体調変化により命に関わる場合がありますので、発熱した時には必ず小児科医の診察を受け、検査について相談しましょう。
コロナウイルスに感染している場合は入院またはそれに準ずる体制で慎重に経過を見る必要があります。

今後の流行

今後(2022年9月以降)は海外からBA2.75やBA4.6が侵入し流行するのではと予想されています。
これらはオミクロン株の亜型です。
これまで、野生株、アルファ株、デルタ株、オミクロン株と変異しながら流行を繰り返してきたように、これからもコロナウイルスは遺伝子を変化させて世界のどこかで生き延びるでしょう。
しかし、ウイルスの流行が長く続くほど、感染力が強く、毒性は弱くなるのが感染症の原則です。
人間の側も免疫を獲得したり、ワクチンや治療薬を開発して対抗しますので、いずれは「予防や治療ができる普通の病気」として、社会でバランスの取れた位置に落ち着くと思われます。

私たちのこれから

私たちは新型コロナウイルスに感染しないで過ごすことはできません。
これだけ社会にウイルスが蔓延すると、誰もがいつかは感染するのが自然です。
子供たちにとっても風邪やインフルエンザなどと同じように一生に何回も感染する病気になるのかもしれません。
しかし、オミクロン株では命に関わることはまずありませんし、ワクチンを接種して症状を軽くすることもできますので、悲観的になる必要はありません。
「感染しても重症にならなければ良い」「感染者が増えても社会が対応できれば良い」と私は思います。

もちろん、どんな病気でもできれば罹りたくはないですから感染予防には気をつけた方が良いですが、家族や子どもたちの生活に無理のない範囲で行えば十分です。
例えば、嫌がる子どもに無理にマスクをさせても意味がありませんし、アトピー性皮膚炎の人が荒れた手指の消毒を行う必要もないでしょう。
オミクロン株に対しては個人個人が緩やかな感染対策を続けて、それでも感染したら病院を受診してゆっくり休養しましょう。
学校や幼保育園は厳しい欠席基準を見直して、感染者が一定数増えたら学級閉鎖をするなど、インフルエンザに対するのと同様の対応が現実的です。

この2年間、私たちは新型コロナウイルスに関してたくさんのことを知りました。
また、人混みを避ける、距離をとる、体調を管理する、換気やマスクの励行など、感染対策の経験も身につきました。
治療薬やワクチンも手にしています。
流行を完全に抑えることはできませんでしたが、感染のピークを先延ばしにて、重症者や死亡者を減らす効果は確かにあったと思います。
感染したことすら、身体が免疫を獲得して次の感染を軽くすることにつながります。
これからもコロナウイルスの新たな変異株が現れますが、これまでに私たちが身に付けた知識や経験、技術を用いて対応することができるでしょう。
そのウイルスはどれだけ注意するべきものなのか。
いつまで、どのような感染対策が必要なのか。
その結果、どうなるのか。
私たちは立ち止まって冷静に判断できるはずです。
やみくもにウイルスを恐れず、子どもたちにとって何が一番大切なのか、一緒に考えていきましょう。
子どもたちと、子どもに関わるすべての方が少しでも安心できるように微力ながらお手伝いさせていただきます。

院長 高橋亨岳
2022年9月11日

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