こどもの「かぜ」

「かぜ」(急性上気道炎)

 こどもの「かぜ」 :幼児は1年間で平均6~7回、多いときは10回以上、「かぜ」をひくと言われています。熱が高くなる「かぜ」もあれば、咳や鼻水がひどい「かぜ」、嘔吐や下痢が主症状の「かぜ」など、色々な「かぜ」があります。これらのほとんどはウイルスが原因で、季節により流行するウイルスが異なるために症状に違いが表れます。診察には家族内や幼稚園・保育園、学校での流行状況が参考になります。最大の治療は家庭でのケア、すなわち、安静にして変わった症状がないか注意して様子を見てあげることです。

【症状】

 最も一般的な「発熱・咳・鼻汁のかぜ」の場合、発熱の多くは1~3日程度でおさまります。時には5日ほど続くこともありますが、1週間以上になることはありません。発熱から少し遅れて鼻汁が出ます。初期にはサラサラした透明の鼻汁ですが、その後、黄色・緑色のネバネバした鼻汁へと変わり、量が減ってきます。最後に咳が出てきますが、発熱や鼻汁のピークとずれるのが普通です。咳は徐々にひどくなり、悪い時には夜も眠れないほどの咳が出ますが数日で改善します。かぜの中で最も長引く症状が咳であり、数週間続くことも珍しくありません。

【注意点】

①機嫌 ②食欲 ③活気に注意して様子を見ることが重要です。熱があっても、顔色が良く、機嫌が良く、遊ぶことができて、食事をそこそこに食べられて、苦しそうでなく寝られているなら、あわてる必要はありません。経過中に高熱が2~3日続く、耳を強く痛がる、咳が多くて寝られないなどの場合は早めに再受診してください。

【治療】

 急性期は安静、体温調節、水分補給などが基本です。薬剤による治療は不快な症状を和らげるための対処療法が中心で、解熱剤・去痰剤・整腸剤などを用います。一方で、かぜの諸症状は病原体の増殖を抑えるための防御反応でもあるため、薬を使って過度に症状を抑え込むのは必ずしも良いこととは限りません。必要最小限の薬で治療することが大切です。

 抗菌薬(抗生物質)はウイルスに効果がなく、かぜの90%は抗菌薬を使わなくても治ります。抗菌薬の乱用は薬剤耐性菌の増加につながり、こどもの将来的な健康を損ねるため、「とりあえず」「念のため」という安易な抗菌薬の使用は避けるべきです。抗菌薬を使用するべきなのは細菌感染症が疑われるときであり、具体的には①溶連菌感染症、②中耳炎・気管支炎・肺炎・副鼻腔炎、③全身状態が悪い時です。

【予防】

 多くのかぜのウイルスは飛沫感染および接触感染で人から人にうつります。咳エチケット・マスク着用・うがい・手洗いの励行は予防に有用です。マスクは、咳をしている本人がマスクをすることで、家庭内でかぜが流行るのを予防する効果があります。

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