嬉しかった出来事

前回投稿してから半年以上が経ってしまいました・・・・本当に時間が経つのは早いものですね。
気づけば港南台の木々も黄色橙色に色づき始めています。
このお便り欄は偶然気づいた方だけが見る程度、ほとんどの方は目にすることもないだろうと気を抜いていたのですが、「見ましたよ」という声をいただくことが意外に多く、ちょっと慌ててしまいます。
内容もお恥ずかしい限りですが、投稿頻度にムラがありすぎてマズイと思い、勝手に追い詰められた気分で日々を過ごしています。
すると現実逃避グセが顔を出し、ますます書かなくなってますます追い詰められるというダメ人間循環サイクルの完成です(泣)

さて、とうとう秋になってしまったわけですが、その間にもご報告すべきことが沢山ありました。すみません。
今回はプロフィールではなく春以降の出来事について触れてみたいと思います。

この春ですが、私の人生でも忘れられない嬉しい出来事がありました。
数年前まで気管支喘息で通院されていた男の子が、ある日の診療終了後、突然、お母さんと一緒に来院されました。
聞くと、この春、目標とされていた国公立大学医学部に無事合格したとのご報告に来てくださったのでした。
治療を通じてお子さんの成長に関わらせていただいた身として、成長して夢を叶えられた少年の未来がとても眩しく頼もしく見えました。

この男の子は近隣の公立高校に通われていたので、いわゆる私立名門進学校の生徒さんではありません。
さらにサッカー部で部活動にも励んでいましたので、現役で国公立大学の医学部に合格されたのは並大抵のことではありません。
周りより一段高い目標を持ち、部活を引退してからは一層勉強に集中されたのだと思います。

昔と違い現在の大学入試の半分くらいは推薦入試になったと聞きますが、今でも国公立大学医学部は試験当日の一発勝負が大半です。
折れそうになっても諦めず日々勉強を続け、当日の体調管理、問題全体を見通す冷静な判断、瞬間的な集中力、長時間の試験に耐える体力と精神力、すべてを賭けて試験に臨まなければなりません。
一握りの天才や秀才を別として、同じ学校を受験する生徒の学力に大きな差はありません。合否を分けるのは「運」です。
「地力」と「対策」そして「自分を信じる精神力」を持ち続けて試験に賭けた人だけが、最後に「運」に選ばれるのです。
大学受験は人生で最もドラマチックな形で自分自身が試される瞬間の一つですが、スポーツの大会や、社運をかけた仕事などにおいても、これは同様であると思います。
熱くなってしまいましたが、少年が自分を信じ努力を積み重ねて合格に至ったこと、本当に素晴らしいことだと思いました。

ご報告を受けて心からお祝いさせていただきましたが、内心では「なぜわざわざ報告に来てくれたのかな?」と思う気持ちがありました。
お二人もそれを察してお話になったところでは、喘息で当院に通院している時に私の診療を見て「先生のような小児科医になりたい」と決めてくださったとのこと。
まさかの理由に咄嗟に言葉が出ず、「えっ、いや・・・・えっ・・・そうなの?」と超平凡な返事しかできませんでした。
普段なら適当な冗談で誤魔化すのですが、真剣にご報告に来てくださったのに茶化すような事をせずに済み逆に良かったかもしれません。
そのまま二の句が継げなかったのですが、私の何がそんなに良い印象を与えられたのかも分からず、当惑と嬉しさがないまぜになったまま、感動して胸が熱くなってしまいました。
中学高校生の患者さんには「保護者ではなく本人に向けて説明をすること」「励ますこと」「成人された時も含めた将来の見通しを説明すること」「握手して診療を終えること」を心がけていますが、それが彼の心に留まったのかもしれません。
そのままご本人、特にお母さんとは受験のお話、医学部、小児科についてのお話をしたり聞いたりして嬉し涙で散会となりました。

どんな仕事であれ、その仕事でしか味わうことのない喜びや苦労があります。
これから世に出ていく若者たちが、自分の姿を見て同じ道を選んでくれることほど、大人たちにとって仕事冥利に尽きる事はないでしょう。
偶然にも私の息子も彼と同じ道を選ぶことになり親の手を離れましたので、正直、私の人生にやり残したことは無いなという気持ちにさせてくれる出来事でした。
そのあたり、医師という職業の特性も含めた理由が色々とあるのですが、長くなりますので続きは次回以降に譲ろうと思います。

お昼から記事を書き始めたのに、気づけばもう窓の外が暗くなってしまいました。
筆が遅くて困りますが、何事も少しずつ進めていくことが大切・・・と自分に言い聞かせています(泣)

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